歴史とディティールから紐解く。本質を知る大人が選ぶお洒落なデニムブランドまとめ

元々は労働服だったジーンズ。デニム素材自体はフランスで生まれ、イギリスの産業革命から織物技術が発展し、アメリカでジーンズの原型が完成しました。ファッションを語る上で欠かせないジーンズに、思いを込め、拘りを持ち、人に教えたくなるブランドがたくさんあるのです。そこで今回は、大人がお洒落に履けるジーンズをご紹介していきたいと思います。

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ファッションとしてのジーンズ


戦後、それまで労働服として認知されていたジーンズのシルエットを細くし、カジュアルウェア市場へアプローチしていきました。戦勝国となったアメリカは世界一の経済大国となり、各国へアメリカ文化が普及していきます。特に、リーバイスの501を履いたアメリカの軍人達というのは、世界中にジーパンを広める良い広告塔になったとも言えます。さらに、マーロン・ブランドやジェームズ・ディーンがハリウッド映画の劇中で履き、当時の若者達を魅了し、ファッションアイテムとしてのジーンズが徐々に認知されていきました。

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1960年代に入ると、カウンターカルチャーでイギリスのモッズムーブメントの流行からヨーロッパ圏でホワイトリーバイスやリーのウエスターナーが浸透していきます。ビートルズやローリングストーンズなどに愛用され、ヨーロッパでのファッションとして徐々に取り入れられていくのです。当時イヴ・サン=ローランの名言にも残っています。I wish I had invented blue jeans. They have expression, modesty, sex appeal, simplicity – all I hope for in my clothes.「私がブルージーンズを発明したかった。表情があり、控えめで、性的魅力もあり、シンプル。私の服に望むすべてがそこにある。」

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3×1(スリーバイワン)


2011年にScott Morrison(スコット・モリソン)氏によって立ち上げられた、ニューヨーク発のプレミアムデニムブランド。ブランド名の由来は1本のジーンズには3フィート=1ヤードの生地が必要ということからきています。「デニムが生み出される全ての過程を透明にして、最高の生地を、最高の縫製で仕上げ、唯一無二のクオリティのデニムを作り上げる」というブランドのミッションであり信念があります。ソーホーの店舗では、実際にファクトリーでは透明なガラスの仕切りの向こう側で、熟練の職人の手によって生地が裁断される様子や、丁寧かつ慎重にステッチが1列ずつ縫われていく様子を眺めることができます。

3×1(スリーバイワン)

 

AG JEANS(エージージーンズ)


2000年、LA発のプレミアムジーンズブランドです。デニムデザイナーのアドリアーノ・ゴールドシュミット氏と、有名ブランドのOEM生産を行ってきたデニム工場コーズ・マニュファクチャリング社との出会いから始まりました。モダンなシルエットも欠かせない魅力ですが、2年、3年、10年、27年とその年数をはき込んだような加工など、『AG』は加工技術の高さが見逃せません。立体的なヒゲやリアルなダメージ感など、ヴィンテージ加工の表情も抜群です。

AG JAENS(エージージーンズ)

DENHAM(デンハム)


デンハムはデニムのテキスタイルから最高品質にこだわり、伝統技術を用いながらも革新的なものづくりに取り組んでいます。50以上の工程を重ねて作られ、伝統的な仕立て技術を持つイタリアのパターンメーカーが共同開発を重ね、抜群な履き心地のデニムを完成させました。フロントボタンやバックポケット、スレーキに至るまでデンハムのブランドロゴであるハサミをあしらっています。細部までこだわり抜かれたディティールこそデンハムの真髄なのです。

DENHAM(デンハム)

KURO(クロ)


2010年、八橋佑輔氏がイタリアのPitti Uomoにてコレクションを発表しました。日本人の瞳や髪の色である「黒」をブランド名とし、日本人の独特な感性・感覚を落とし込み、モダナイズされたデザインと、歴史と伝統を受け継いだ日本各地の職人の技術による、こだわりのモノづくりが特徴です。歴史と伝統が息づいた熟練の職人たちと、1からではなく、0からつくりあげることを念頭に置き創造しています。そうした生産背景から「文化を着る」というブランドコンセプトなのです。

KURO(クロ)

 

orSlow(オアスロウ)


2005年、仲津一郎氏によってスタートした、兵庫県西宮発のブランド。素材や風合いにこだわったワーク&ミリタリーウェアを展開し、ヴィンテージ品が醸し出すオーラはそのままに、現代のファッションに幅広く取りいれられるアイテムは、様々な年代の生地や洋服に触れてきた仲津氏だからこそ産み出せるものなのです。特に、アトリエ内にはデニムの量産工場と同じ設備の約20台(16種類)の工業用ミシンを揃えてサンプルをデザイナー自ら手作りで縫製しています。

orSlow(オアスロウ)

 

rag&born(ラグアンドボーン)


2001年、デザイナーのデービッド・ネビルとマーカス・ウェインライトによってニューヨークでスタートしました。アメリカンカジュアルの代表であるワーク&ミリタリーにイギリスのテーラリングをMIXさせた、懐かしさと今を感じさせる服作りが世界中のファンから愛され続けています。デニムのコレクションから始まっただけあり、岡山産の厳選した高級糸を使用した生地にアメリカの職人が一本一本丁寧に生産を行い、縫製・素材に妥協せず、穿き心地やシルエットなど、まさに一級品です。

rag&born(ラグアンドボーン)

 

RESOLUTE(リゾルト)


2010年、デニムデザイナーである林 芳亨氏が立ち上げたデニムブランドです。made in Japanに拘り、日本人の体型に合わせ、よりスタイリッシュに魅せてくれるシルエット。あえて加工を施さないデニムは、色落ちが唯一無二の「加工」となっていく考え方なのです。「何年経っても手に入る理想の定番を作り続けたい」という林氏の職人たる思いから、モデルは拘った4型のみのラインナップになっています。

RESOLUTE(リゾルト)

 

REDCARD(レッドカード)


2009年秋冬、デザイナー本澤裕冶氏がスタート。リアルヴィンテージのように立体感が感じられるウォッシュ加工とアタリやヒゲのユーズド加工に、 日本の繊細なクオリティーが随所に見えます。機能面ばかりを追求するのではなく、 きめ細やかな日本の感性が生み出した発想“進化版REAL DENIM”を提案しています。日本の繊細な感性を体現する加工職人をリスペクトしていることでも有名で、品番に加工職人の名前を入れているのもそのためです。

REDCARD(レッドカード)

RE/DONE(リダン)


2014年L.Aにてスタートしたデニムブランドです。Levi’s社から正式にヴィンテージデニムの加工を承認されており、1950~1990年代のヴィンテージのリーバイスのデニムをカスタムしたデニムを展開しています。一点一点丁寧に手作業で作られていくジーンズは、パーツや加工にまったく同じものはなく、世界でたったひとつのヴィンテージリメイクデニムとなっています。単なるリメイクではなく、ヴィンテージ特有の味わいのある表情を、現代的なシルエットへ再構築しています。

RE/DONE(リダン)

 

RRL(ダブルアールエル)


1993年、ラルフローレン自身のファッションの集大成と称してヴンテージへの愛情を注ぎ、渾身を込めてスタートしたライン。旧き良きアメリカの歴史を表現する、ヴィンテージテイスト溢れるディティールや素材、ユーズド加工に拘る。非生産的な製法で作られたヴィンテージジーンズは、量産型のジーンズでは決して出せない色合いや、さまざなところに見受けられるラルフローレン氏のこだわりが最大の魅力です。

RRL(ダブルアールエル)

 

UPPER HIGHTS(アッパーハイツ)


2014年春スタートしたDENIMを中心のJAPANブランドで、「着る人」を惹きたてるバランスの良い新たなDAIRYWEARを提案しています。デニムは全て、”カイハラデニム”の生地を使用し、加工をしっかりと入れて、USED感を演出しながらもクリーンな履きこなしができるブランドです。太ももや膝の自然な経年変化を表現できている削りも繊細と拘りあるジャパンクオリティーだからこそ。

UPPER HIGHTS(アッパーハイツ)

 

デニム豆知識


ジーンズやデニムについて、専門用語が使われる事がよくあります。コレさえ知っていればデニムの見方がわかるという知識やディティールをまとめました。

 

「1.セルビッチ(赤耳)」

デニム生地の端、通称「耳」と呼ばれる部分のことを指し、旧式の力織機を使用して織られた、生地端にほつれ止めがされたデニム生地のことです。ほつれ止めは赤い線が入っているものが通称RED TAB「赤耳」と呼ばれ、リーバイス501が糸色に赤を使用したため、糸は赤色と認識されるようになりました。人気の理由はいくつかありますが、希少性がある事です。まず、生産効率が悪く、旧式の織機を使用して生産されるセルビッチデニムは、その生地を織る為に通常のデニム生地の5倍以上の時間を必要とします。さらに、生地を織る際の巾がとても狭く、一本のジーンズを制作するのに、セルビッチデニムでは生地の長さが通常の倍程度かかってしまうのです。大量生産出来ないことから、デニムの価値を図る一つの基準になりました。

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「2.リベット」

リベットとは主にジーンズ(デニム)のポケット部分の隅に取り付けられている金属製の金具のこと。ポケットのステッチ部分を補強することが本来の目的ですが、補強の役割に加え、デザイン的な付加価値を上げる役割がより強くなってきています。

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1870年頃、ネヴァダ州で仕立屋を営んでいたジェイコブ・デイビスは労働者たちの要望で丈夫なズボンを作るために、馬用のブランケットにストラップをつけるために使っているリベットに着目。リベットをズボンのポケットの隅に打ちつければ、ズボンが丈夫になり、より長持ちするのではないかと考えたところから歴史は始まっています。ちなみに、Levi’s(リーバイス)のロゴマークは馬に引いても破れない頑丈なパンツという意味があります。

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「3.アタリ」

アタリとは、擦れた跡のことを指し、シワ部分が色落ちして、表面が白く現れることで、デニムに立体感のある表情を与えます。デニム生地を染める際にインディゴ染料が使用されていますが、浸透力が弱く繊維内部まで染めることができません。吸着力も弱いため、摩擦が発生するとジーンズのたて糸表面が削れ、中心部の白い部分が出て「色落ち」となるのです。履いている人の生活や癖によって、アタリの出方が違うため、世界で1本のジーンズが出来ていくのです。

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「4.ヒゲ・ハチノス」

ジーンズの太もも付近に出てくるシワ状のアタリを示す言葉で、股から外に放射線状に広がったアタリのことです。文字通り見た目が動物のヒゲのように見えたことから、ヒゲと呼ばれるようになりました。

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ジーンズを履くと膝の裏にシワがつき、アタリが出て、色落ちが進むと8の字の形が膝裏に現れます。このアタリがついた色落ち部分をハチノスといいます。デニムジャケットだと肘の内側に出来ます。

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「5.縦落ち」

縦落ちとは、デニムの色落ちが縦方向に線を描くように進む色落ちの1つになります。縦落ちはヴィンテージ系のジーンズによく見られる色落ちの1つで、デニム生地を織る技術や糸を作る技術が成熟していなかった頃、糸の太さのムラや織り込みのムラが擦れる箇所の色落ちの進み具合が不均一になったことにより、このような色落ちになっていました。

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イタリアブランドデニム特集


今回紹介しきれなかったブランドで、イタリアブランド特集を別の記事でまとめています。ご参考までに、是非お読みください。

大人が履くべきイタリアのお洒落なデニムブランド特集

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