オイルドジャケットの最大の魅力は経年変化を楽しみながら、自分だけの一着として共に人生を歩む事。男心をくすぐるアイテムの一つです。耐水性や、その機能性の高さとお洒落な雰囲気からもファッション業界で長きに渡り愛されています。そんなオイルドドジャケットと聞いて真っ先に「バブアー(Barbour)」が思い浮かぶ方は少なくないでしょう。どんなスタイルにも落とし込める有能性、値段も比較的安いのも魅力の一つです。今回はそんなバブアーの知られざる魅力を着こなしと共に種類別にご紹介します。
歴史からバブアーの魅力を紐解く・・・
「そもそもバブアーとは?!」
バブアー(Barbour)は1894年に創業したイギリスのブランドです。もともとアウトドアブランドとしてスタートを切りましたが、現在はそれに加えてファッションアイテムとしても人気の高いブランドになっています。
「バブアーの歴史」
バブアーの創業者はスコットランドのキャロウェイ出身のジョン・バブアー(John Barbour)です。イングランド北東部に移住してからは布地の行商として24年間働きました。その経験の後に「J Barbour&Sons」という会社をスタートさせます。これが現在のバブアーの歴史の始まりです。バブアーの誕生した場所、サウスシールズは港町です。ここで悪天候の中働く水夫や漁師、港湾労働者などのためのコート、ビーコンが誕生しました。オイル加工した防水ジャケットが、バブアーの代表作オイルドジャケットです。北東海岸で随一のオイルドジャケット取扱店として、その防水性と耐久性から多くの労働者に愛用されました。
「耐久性、防水性を証明した世界大戦」
バウアーの製品の耐久性、防水性を証明したのが世界大戦です。バウアーは第一次・第二次世界大戦どちらにおいても、イギリス軍に防水服を提供しています。特に、第二次世界大戦中には、潜水艦ウルスラの搭乗員服としてバブアーのオーバースーツが採用されました。オイルドジャケットだけでなく、ライダース・ジャケットも有名です。ジョン・バブアーの孫にあたるダンカン・バウアーが1936年に発表したモーターサイクル仕様のライダース・ジャケットが1936年から1977年の間イギリス・インターナショナル・チームに採用されました。アメリカの俳優であるスティーブ・マックイーンも着用していたことから、バブアーはライダース・ジャケットの代名詞となりました。
「イギリス王室御用達、希少な3人の紋章」
そして、バブアーの服作りの姿勢とその高い品質が認められ、イギリス王室御用達の栄誉を授かることとなります。1974年にエディンバラ公フィリップから、1982年にエリザベス女王から、1987年にはチャールズ皇太子と、3人からそれぞれ御用達の認定を受けました。バブアーのロゴには、この3人の紋章が入っています。イギリス王室御用達に認定されているのはおよそ800もの企業や個人がありますが、3つ全て授かっているというのは希少です。このこともバブアーの品質を証明しています。
「創業から100年、バブアーの未来」
バウアーは確かな技術力でイギリスを代表するアウトドアブランドとしての地位を確立しました。現在では、オイルドジャケットやライダース・ジャケットだけではなく、メンズ、レディース、キッズでさまざまな製品を展開しており、ファッションアイテムとしても注目を集めています。創業から100年以上たった現在でも、バブアーはイギリスにとどまらず世界中で愛されるブランドとして支持されるブランドです。これからも、創業から変わらない姿勢でバウアーのアイテムを世に送り出してくれるでしょう。これからのバウアーにもますます注目が高まります。
Bedale/ビデイル
最も人気であるショート丈の「Bedale/ビデイル」。ショート丈と言ってもベルトが見えるほど短いわけではなく、ちょうどジャケットが隠れる丈感でどんな着こなしにも合わせやすいのが特徴です。街中で着用している方の大半がこのモデルといえますね。ラグランスリーブやサイドベンツ、ハンドウォーマー、袖口に施されたリブなど乗馬用コートのディテールはそのままに、現代的なフィッティングを採用しておりスッキリと着こなせるのが魅力です。バブアーが初めての方はこのモデルを購入するパターンが多いと思います。
ビデイルの着こなし
「ビデイル×ホワイトパンツ×ホワイトパンツ」
ビデイルはその着丈の短さから、ジャケットの上にコーディネートしてもすっきりと合わせることができます。ネイビーはバブアーの中でも都会的な印象が強く綺麗目な装いには落とし込みやすいです。ジャケットはビデイルと同色系のネイビーで合わせながらもメタルボタンがアクセントの物をチョイス。仕上げのホワイトパンツがコーディネート全体をより都会的な印象に格上げしています。
「ビデイル×グレータートルネックニット×ホワイトデニム」
これぞバブアーと言わんばかりのオイルの抜けた雰囲気の良いビデイル。オイルの抜けたバブアーは少し野暮ったい印象になりやすいですがグレーのタートルネックとホワイトデニムのグリーンな印象がうまく合わさりコーディネートをまとめ上げています。足元はスニーカーでも面白そうですがブラウンのスエードをチョイス。ちょうどバブアーの野暮ったさとマッチしていてうまくバランスの取れたコーディネートになっています。
Beaufort/ビューフォート
ビデイルよりちょっと着丈が長い「Beaufort/ビューフォート」。着丈以外の違いとしては、「ゲームポケット」と呼ばれる狩猟時に使われていたとされるポケットです。また、ビデイルは袖がリブになっており、風を通さない仕様になっていますが、こちらはそういったデザインではないです。どちらも外観上そこまで目立つものではないので、基本的にはビデイルより着丈が10cm弱程度長い、という解釈で良いと思います。ビデイルに比べやや人気は劣るせいか、こちらを販売していないセレクトショップも多くあります。
ビューフォートの着こなし
「ビューフォート×グレースーツ×グレーネクタイ」
個人的に最もスーツスタイルと相性が良いと感じているのはビデイルより着丈の長いビューフォート。オーソドックスなグレーのスーツにグレーのネクタイにタブカラーシャツとかなりクラシカルな装いにバブアーの垢抜けたカジュアル感がうまく馴染んでいます。ビューフォートはビデイルに比べてポケットも多く様々な物を入れることができるのでランチに行く際やちょっとしたお出かけの際も手ぶらでいけるのもポイントは高いです。
「ビューフォート×ネイビースーツ×サングラス」
着丈の長いビューフォートだからこそ肩掛けコーディネートも抜群にキマります。先程と比べ、ネイビースーツで合わせると表情がガラッと変わりますね。クラシカルな印象というよりは都会的でスマートな着こなしへと昇華されています。サングラスをネイビーのフレームの物をチョイスしていたりウエストコートをバブアーと同色系の物を合わせていたりと小さな色合わせがこのスタイリングを完璧な物にしています。
Border/ボーダー
バブアーの中で最もロング丈の「BORDER/ボーダー」。ビューフォートより15cm程度長く、膝上丈なので完全にロングコートです。ロング丈のモデルなのでビジネスシーンなどでもおいて、よりスマートな着こなしが可能です。前面裾部分に付けられたナイロンの泥除けや、ウエスト部分のアジャスターなど、細かいディテールがポイント。ボトムスを選ばない汎用性の高さを維持しながら、大人のスタイルに最適なサイズ感を実現しています。
ボーダーの着こなし
「ボーダー×ホワイトカットソー×ネイビーパンツ」
ボーダーの着丈の長さを活かしたリラックス感溢れるコーディネート。インナーをホワイトにする事で野暮ったさと重たい雰囲気が抜けています。ネイビーのトーンオントーンでまとめていますが微妙な色の変化がコーディネートに奥行きを出しています。そしてインナーやパンツを無地のシンプルな物をチョイスするとバブアーのライナーのチェックがちょっとした時に見えカッコいいですね。
「ボーダー×ベージュシャツ×ブルーデニム」
隠れた人気を誇っているのはベージュのバブアー。オイル抜きのこちらのタイプはより都会的でカジュアルな印象を作りやすいのでデニムとコーディネートするとまとまりやすい。ご紹介するのが遅れましたがバブアーはデニムとの相性が抜群に良いので困った時はデニムで合わせれば問題ありません。ただ、カジュアル感が強くなるので足元は革靴でコーディネートするとより雰囲気を作りやすいでしょう。
トレンチコート
BARBOURから2レイヤーのトレンチコートが登場。ロング丈の定番フィールドジャケット「BORDER/ボーダー」を現代にフィットするサイズ感でアップデートしたモデル。襟のコーデュロイ素材や英国調のチェック柄裏地などBARBOURらしいデザインもポイント。セットインスリーブなのでスーツやジャケットの上からも着用が可能。オン・オフ兼用で活躍してくれるおすすめのアウターです。
バブアートレンチコートの着こなし
「トレンチコート×ブラウンジャケット×ベージュパンツ」
バブアーの中でもファッション性が高く、ファッションフリークからも人気の高いのがこのトレンチコートのシリーズ。かっちりとしたイメージの強いトレンチコートもオイルが入るだけで雰囲気がガラッと変わって良いですね。ジャケット、パンツ、シューズをブラウンのトーンで統一させグラデーションをつけてまとめています。全体的に淡い、ぼやけた印象を締めのインディゴシャツがバランスを整えてくれています。
「トレンチコート×ツイードパンツ×ジョッパーズブーツ」
トレンチコートにツイードのトラウザーズを合わせたイギリスを感じさせる雰囲気のあるコーディネート。襟を立てて、ベルトを締め上げる事でウエストラインにメリハリをつけています。当然、視線が自然と上に上がるので足長効果を期待できるコーディネートになっています。そしてこのコーディネートで一番素晴らしい点はパンツ、シューズ、メガネ、この三点をグラデーションさせている事。小技が効いた粋なコーディネートです。
International/インターナショナル
1936年に発表し、ライダース・ジャケットの代名詞ともなっているモデル「International/インターナショナル」。バイクに乗っていることを前提に作られているため、取り出しが行いやすいよう左胸のポケットは斜めに設計されています。モデルによるサイズ感の変化に合わせてポケットの大きさも調整された、こだわりの一着です。
インターナショナルの着こなし
「インターナショナル×ホワイトタートルネック×グレーパンツ」
バブアーの中で一際目立つ、独特の雰囲気を漂わせているのはこのインターナショナル。カジュアルに合わせすぎてしまうとインターナショナルだけ目立ってしまうコーディネートになってしまうので綺麗目な装いに落とし込む事をオススメします。インナー、トラウザーズ共にホワイト、ブラックとモノトーンのみでコーディネートされているのでシックでモダンな装いで着こなす事が出来ています。
「インターナショナル×スリーピーススーツ×ハンチング」
スリーピーススーツの上にインナーナショナルを合わせたありそうで無かった新鮮な着こなし。ハンチングやブリティッシュなクラブタイにフルブローグとイギリス要素満載のトレンド感を意識した着こなしですね。パンツの丈感を短くしてスッキリ魅せていたり、あえてマフラーを手に持ってアクセントにしている点も小技が効いていて素晴らしいコーディネートです。
Spey/スペイ
短めの着丈とゆったりしたシルエットが特徴のジャケット「Spey/スペイ」。ラグランスリーブで動きやすく、タウンユースからアウトドアまで活躍します。元はフライフィッシング用として開発されたモデルのアーカイブをベースに作られており、ダブルジップやフラップポケット、右胸部と左側腹部のDリングなど独特のディティールを備えています。
スペイの着こなし
「スペイ×グレースーツ×ニットタイ」
ショート丈のスペイは着丈が短く、レイヤードスタイルがバッチリはまります。敢えてインナーより短い物を合わせる事でコーディネートに奥行きを演出しメリハリのあるスタイルになっています、シャツ、ネクタイ、スペイからネイビーにまとめ上げられた統一感のある色合わせですがブルーの色味に微妙な変化を与え、綺麗なグラデーションになっています。カジュアルなアウターなのでネクタイをニットタイにしている点もうまくバランスを取れているポイントです。
「スペイ×ネイビージレ×ベージュパンツ」
カーキのバブアーはベージュパンツの合わせはそのナチュナルな印象からも相性抜群ですね。着丈が短い文、プリーツパンツなどディティールの富んだトラウザーズもしっかりと主役にコーディネートする事が出来ます。パラブーツはポテってした印象があり、こういった野暮ったいコーディネートと綺麗目なコーディネートを融合させたスタイルに落とし込みやすく、変にかっちりとしすぎないのでオススメです。
最後に・・・
いかがでしたでしょうか。私の考えるバブアーの魅力は“永遠に廃れないスタイル”を提案してくれている点ではないかと思います。ファッションには変わる必要のあるものと変わる必要の無い物のがあります。バブアーは正に後者の変わる必要の無い物。そして今後も変わる事なく私達を惹き込み楽しませてくれる事でしょう。是非ご参考いただければ幸いです。