PITTIUOMOにてその研ぎ澄まされたコーディネートとダンディな佇まいから、注目を浴びている人物がいます。そう”Roberto Mararo”です。完成された彼の着こなしは見る度に圧倒されてしまいます。私も彼を見ると休日にもスーツを着たくなったものです。本来スーツとは決して”仕事着”ではないはずです。スポーツやリラックスが流行っている今の時代だからこそ今一度スーツの着こなしを学びたいと皆さんに思っていただきたいです。そしてスーツの着こなしを理解したときに初めてエレガントなカジュアルスタイルを表現することが出来るのです。
Roberto Mararo(ロベルト マラーロ)
MILANOにお店を構える「Mr.Raro」のオーナーであり、米国、ロンドン、中国、日本でイメージコンサルティングを行っています。「私はブランドのデザイナーなのですが、私の作る洋服を愛用してくれている人たちは、着こなし方をも知りたいと思っていることに気づき、そこからイメージコンサルティングを始めました。」と語っています。メンズではスーツ、ネクタイ、靴、シャツなどもラインナップし、ブランドは更に大きくなっていっています。現在は米国、その次にロンドンのショップをオープン予定です。日本への出店もかなり意欲的みたいですが、今はその期を狙っている段階の様です。
着こなし「スーツスタイル」
彼のお得意の合わせ方はイギリス調の生地にイギリスよりの仕立てスーツに合わせる”ラウンドカラー”シャツです。単調なスーツスタイルをあっという間に華やかに演出することが出来ます。よくみると、ジャケットのラペルが「ピークドラペル」です。こういったラペルにはラウンドカラーはバランスが取りやすいです。何故なら、角に対し丸で中和をとることが出来るからです。彼の巧みなところは、ラウンドカラーに対し、ネクタイの結び目を限りなく細く巻いているという点。おそらく「プレーンノット」で巻かれていますが、シャツとのバランスが上手に取れています。
ダブルブレストのスーツも彼の好むスーツスタイルの1つ。色数や柄もあまり使わずにシンプルな着こなしですが色気が漂う大人の余裕を感じさせます。体のラインが綺麗に出た、オーダーメイドスーツ。完璧なコーディネートの中にもソックスを履かずにスリッポンで合わせる事で敢えて遊び感と逃げ道を作っています。この小さな遊び感こそ、大人の余裕を感じさせる最後のスパイスなんです。
着こなし「ドレスカジュアルスタイル」
ネイビージャケットにホワイトパンツ、そしてダンガリーシャツ。これぞイタリアと言わんばかりの王道のコーディネート。一度は真似した事あるこのスタイル。マラーロ氏が抜群に格好良く見えるのには秘密があります。それはずばり、アイテムのディティールです。ジャケットは肩周りが明らかにビスポークのミラノを匂わせる仕立て。パンツも深めの股上に綺麗なシルエット。普遍的なスタイルこそ、ディティールにこだわる事で深みを出すことが出来ます。
鮮やかなブルーパンツを用いた、初夏にピッタリな爽快感溢れるコーディネート。ブルーパンツにグラデーションで合わせられたサックスブルーのシャツが綺麗にコントラストを作っています。胸元に飾られたネイビーとレッドのポケットチーフがコーディネート全体を引き締めてくれています。さりげなくブレスレットでも色を拾っていて良いですね。マラーロ氏はあくまで挿し色は小さい面積で行うのが特徴ともいえます。
ベージュのテーラードジャケットをグレーのトラウザーズでシンプルにまとめあげたクリーンなエレガントスタイル。日焼けした肌に淡い色のジャケットとトラウザーズが妙にマッチしていて抜群に格好良いですね。全体的に淡いコーディネートですが足元のシューズとポケットチーフが上手く引き締めてくれていてぼやけすぎずに着こなせています。先程のコーディネートもそうですがこういった色使いは参考にしていきたいテクニックです。
着こなし「コートスタイル」
彼のスタイルで一番特徴的なのはポケットチーフの挿し方。チーフの挿し方は数多とありますが、彼は「クラッシュド」を好みます。完成し計算されつくされてると感じる点の一つです。何故なら、完璧に仕立てられたスーツ、綺麗に磨かれた靴、きつく結ばれたネクタイ。このままですと”抜け感”が出ないのです。一見適当に入れられているような印象ですが、彼はこのスタイルを確立するため自らポケットチーフをデザインしています。スーツスタイルの表現で最も簡単なのはポケットチーフで遊ぶことです。しかし、あくまでポケットチーフはコーディネートの最後の砦。全体のバランスを考えて最適な差し方を選びましょう。
コートを着用する際に肩掛けをするのは彼のお得意のスタイル。仕立ての良いスーツとコートならではのバランスがとてもしっくりきます。ブルーのウィンドーペンチェックのスーツの色を拾い、ハットとチーフ、ネクタイと絶妙なグラデーションをつけながらスタイリングしています。そしてコートのボタンの色とシューズの色を合わせる事でコーディネート全体で色数を使わない様に上手く調整しています。
シンプルなグレーのスーツに鮮やかなボルドーのコートが綺麗に映えています。色物のコートは一見すると着こなすのが難しい様に感じますがその他のアイテムを無彩色、つまりブラックやグレーで合わせれば簡単にコーディネートする事が出来ます。今回のスタイリングでマラーロ氏のテクニックが素晴らしい点はネクタイです。通常、コートの様な広い面積を占めるアイテムを用いてる場合はシンプルにするのが鉄則です。しかし、あえてネクタイを同色の薄いレッドで合わせ、クッションにする事でコートが悪目立ちしないようにしています。
着こなし「カジュアルスタイル」
カジュアルスタイルでもエレガントなスタイルを貫けるのは完璧なスーツスタイルの基礎があっての事。サファリシャツジャケットにスラックスを合わせたグレーのトラウザーズを合わせたシンプルな着こなしですが胸元のポケットチーフやサングラスなどの上品な小物を取り入れる事でカジュアル感が出過ぎない様にしています。
ダブルのライダースを都会的にクリーンに合わせたコーディネート。デニムでカジュアル感を演出しながらもシューズをスニーカーではなく皮物で合わせる事でカジュアルになりすぎない様にしています。バランスを取る為にインナーはタートルネックで合わせています。カジュアル感と綺麗目な雰囲気が上手くミックスされたマラーロ氏らしいカジュアルスタイルですね。
上から下までブルーのグラデーションでまとめたリゾートにピッタリなスタイル。上から下までブルー系統のみですがシューズに向かって色が濃くなる様に合わせているので重たくならずにまとまっています。夏らしくリネンのシャツですが襟をよく見るとウィングカラーに。夏はどうしてもシンプルな装いになってしまうのでディティールにこだわった着こなしをしたいものです。
着こなし「エスコートスタイル」

Mr.raroのレディース部門のクリエイティブディレクターを務めるマラーロ氏の妻「Ereonora Maroro氏」美しい容姿ももちろん、彼女の着こなすマスキュリンなスタイルのファンも多い。instagramのフォロワーは22.7万人を超える。
マラーロ氏は妻のエレオノラ氏をエスコートするスタイリングの際に最もエレガントな着こなしをしています。ペアルックのコートを羽織りながらもコートやパンツを始めエレオノラ氏よりもトーンの抑えた色でコーディネートしています。あくまで女性が華やかで目立つ様に一歩引いた、男らしいエレガントなスタイルです。
ホワイトを主体としたエレオノラ氏のスタイリングにマラーロ氏の全体のトーンを抑えたシックな着こなしに映えるレッドのグローブが一輪の薔薇の様に美しいですね。日本ではあまりない考え方ですがヨーロッパ特有の女性を引き立てる男性のコーディネートは是非参考にしていきたいものです。
お洒落な小物使い

マラーロ氏オリジナルのポケットチーフは綺麗にボリュームが出ます。まるで花の様な雰囲気でエレガントです。

コーディネートに合わせてグローブを使い分けているマラーロ氏。深いグリーン、ボルドーなどコーディネートに合わせたチョイスをしているのでばっちりキマっています。

アクセサリーをあまりつけすぎないマラーロ氏の腕周りはスッキリとしてバランスの良い仕上がりになっています。

一見、ドレススタイルにハットを合わせてしまうことは難しいですが彼はあえて色物のハットでコーディネートを着崩し、バランスを保っています。

お洒落な人は通じて巻物の使い方が上手い。マラーロ流の巻物の使い方はジャケットと同色の物をチョイスする事、ジャケットに上手く馴染みます。

バカンスではリゾートに通い詰めるマラーロ氏。船上で履くお気に入りのタッセルモカシンはマリン感満載で格好良い。
最後に….
MARAROの作りこまれ、計算しつくされたドレススタイルはいかがでしたしょうか?日本にも早くMARAROできて欲しいです…。そして、日本でもっとスーツを着こなす楽しさやジャケットを楽しんで着れる人が増えるといいですね。今後も彼の着こなしは要チェックです。