「忘れろ、ジェイク、ここはチャイナタウンだ」とは、映画“チャイナタウン”に出てくるセリフで、イギリスの「ガーディアン」紙が選んだ映画史上最高の「ラストの名セリフ」のベスト10に入っています。最もこのセリフだけでは何のことやらさっぱり分かりませんが、映画の中で耳にするとグッと心に沁みること請け合いです。ハードボイルドならではのセリフ、そして登場人物のファッションも含めた雰囲気がたまらない大傑作です。今回はそんな私が着こなしの参考にしたお洒落な映画「チャイナタウン」をご紹介します。
あらすじ
舞台は1937年のロサンゼルス。私立探偵のジェイクはある日、“モーレイ夫人”と名乗る人物から彼女の夫の浮気調査を依頼されます。すぐに夫の浮気の証拠をつかみ、写真におさめるジェイクでしたが隠し撮りしたはずの写真がなぜか新聞に掲載。おまけにその夫は殺され、本物のモーレイ夫人であるエヴリンが登場します。 次々と起こる不可解な事件、なぜモーレイは殺されたのか?最初に夫人を名乗った女性とは?ジェイクは独自で謎に迫りますが、どんどん異常な事実が浮かびあがってきて・・・
今も語り継がれるハードボイルドの傑作映画
画面から伝わるそのクオリティ、繊細なディティールは映画により深みを与え、ハードボイルドな空気を醸し出しています。当時のアメリカの空気を感じ取ることができるデザイン、そして今でも真似できそうな変わらない男のスーツスタイル。70年代を代表するファッショナブルなミステリー映画です。 作品全体に漂う虚無感や退廃感。そしてキャラクターをより印象付ける個性的なスーツ。アカデミー賞5部門を受賞したフィルム・ノワールの傑作『チャイナタウン』。ぜひスーツにも注目しながら、ご覧ください。
この着こなしが参考になる・・・
仕立ての綺麗なホワイトジャケットにヴィンテージ調のネクタイが綺麗に映えたコーディネート。Spacca Neapolis(スパッカネアポリス)の登場など、ネクタイ業界ではヴィンテージ調の生地がトレンドとして名をあげています。こういった、昔の映画を見ると当時のリアルにコーディネートされたスタイルを再確認することができます。それを現代に落とし込みコーディネートすることでより深みのある着こなしへと昇華させることが出来るはずです。
ストライプのグレースーツにレギュラーカラーシャツ、水玉のネクタイとイギリスの紳士を彷彿させる完璧に整えられたスタイル。女性のクラッチバッグとネイルにさりげなく揃えられたネクタイの色が綺麗に映えています。スーツスタイルをお洒落に着こなす一番のポイントは隣にいるパートナーを惹き立てる着こなしです。
最期に・・・
「チャイナタウン」は隙のない探偵映画の芸術品。本作の登場人物たちは、心の最も奥深く、治療しようにも絶対に手の届かないところで傷だらけです。衝撃的なラストは、最も哀しくだからこそ美しいバラードのような余韻を残す。それは監督ロマン・ポランスキーの人生についてまわる血の匂いと、その運命を連想させます。是非一度ご覧ください。