Floriwonne

世界屈指のカラリスト「藤澤宣彰」が手掛けるパティーヌ靴の魅力

皆様はパティーヌという染色方法をご存知でしょうか。色を染めて靴の表情を思うままに表現する事が出来るパティーヌは靴好きだけでなく革マニアを魅了します。そして、そのパティーヌを専門的に行うカラリストとして第一線で活躍し続ける藤澤さんを訪ね、その芸術とも言える靴の魅力に迫りました。

Floriwonne

 

導かれるようにして出会ったパティーヌ


fg-trente

-藤澤さんがパティーヌと出会うまでの経歴を教えて下さい。

靴に携わった最初のきっかけは、ワールドフットウェアで紳士靴の販売をしていたのが始まりですね。靴が好きで異業種からこの業界へ飛び込んできたのがスタートでした。その当時、フランスのシューケアメーカーである「コルドヌリ・アングレーズ」のスタッフが来日した時に初めて色を染める“パティーヌ”について教えて貰いました。

 

-先駆者がいないカラリストですが、どのような方法でパティーヌを学んだのですか?

教えてくれる人はいなく、フランス人に教わって以来独学で学んできました。縁があって靴用品メーカーである「コロンブス」に転職をし自分の技術を高めつつ、ブランディングなどにも携わるようになりました。その中で、伊勢丹のバイヤーの方がパティーヌ(染め替え)などを得意とする人を探していて、伊勢丹で購入した靴の染め替えを請け負うようになり、経験を積む事が出来ました。 

 

繊細な作業が多いパティーヌだと思いますが、元々そういった作業が得意だったのでしょうか?

紳士靴の販売をする前から、実は趣味でシルバーアクセを自分で作ったりしていました。銀を掘ったり、ロウで彫刻して銀にかけるなど繊細な作業が多くあった為、慣れていたのかもしれません。今だから思いますがその作業がパティーヌにも通ずるものがあり、感覚を養っていたと思います。

Floriwonne

このお洒落な容器は、理想の色を求め開発されたオリジナルの染料が入っている。

Floriwonne

革だけでなく、ガラスにも色をつけれるか試したという藤澤さん。見る角度によってフラスコが虹色に変化する。

 

藤澤さんが手掛けるFg-Trente(エフジー・トラント)とFloriwonne(フローリウォネ)


Floriwonne

藤澤さんはパティーヌ(染め替え)を請け負う傍、自身がプロデュースするシューズブランド「Floriwonne(フローリウォネ)」にも精力を注いでいる。ブランド名であるFloriwonne(フローリウォネ)は、Flori(花)とWonne(喜び、至福)を合わせた造語。ヒトの喜びの側に咲く花のように 人生に彩りを添える事が出来る様、想いを込めて制作致しています。このFloriwonneはビスポークとレディメイドから選ぶ事ができ、お客様の予算と好みに応じて対応している。レディメイドでは、藤澤さんがデザインをした靴を工場で生産し、パティーヌを藤澤さんが施している。またサイズ展開もUK5.0〜11.0までと幅広く揃っており、価格も8万円台〜作る事が出来るので非常に良心的だ。もう一方でビスポークとなると、藤澤さんがメジャーリングからクラフトメイキング、アッパーメイキングまでを実際に行い、縫製に関しては靴作りに長く携わり、ロンドンでも修行を積んだという友人に任せている。

 

木型を作る上でどのような事を意識していますか?

本来、靴作りをしている人はまず木型作りを学び、色合いや素材を順に学びますが、私はその逆から入りました(笑)私の中で素材(色)とフォルムの関係は隣接していると思っているので、この木型だから似合う色や似合わない色というのもあると思っています。その為、自分の色を上手く表現できるような木型を作れるよう今も試行錯誤しながら作っています。

 

-足の形にコンプレックスがある人も藤澤さんにかかれば安心できますね。

過去には柔道オリンピック、銀メダリストで足のサイズが30,0cmを越える様なお客様もいらっしゃいました。とても大きな足はレディメイドでは難しい場合がほとんどです。だからこそ、ビスポークなのです。一度作った木型はストックできるので気に入って頂ければ同じ木型で何度も作り直すことができるのも魅力の一つです。

fg-trente

本日藤澤さんが履いていたシューズも自身が手掛けた靴だった。自分が履く事によって、日々気になる点や改善点を探しているという。

 

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左からMarron nubuck(マロンヌバック)クロコ、Bordeaux(ボルドー)のクロコダイル、Canard(カナール)のカーフ。

-このヌバックをイメージしたクロコダイルも藤澤さんが作成したのですか?

本来ヌバックとは、ベルトコンベアーの中にサンドペーパーのような物があって革を擦るのですが、これは実際に私が革を削ってヌバックを表現しました。このクロコダイルもエルメスが使用している革と同じなので、削るのに少し抵抗はありました(笑)それでも、通常のパティーヌとはまた違った表情が出て面白い風合いだと思います。

 

-どうやって染めていくのですか?

今パリのアーティストも筆を主流に染める人が多いですが、私は手と筆を箇所によって使い分けています。筆だと分からない感覚も、手でやる事でより細かな色を表現できます。パティーヌの基本は光に合わせること。靴を光に照らした時に明るく見える所を薄く、暗く陰になっている所を濃くするとバランスが取れるのです。色彩感覚と自分の色の塗り方はお化粧に近く、女性の方は分かりやすのですが、アイシャドウの塗り方と凄く似ています。

 

-パティーヌと言ったら、ベルルッティのイメージを抱く人が多いと思いますが、藤澤さんの靴はベルルッティより色が深いように感じます。

染色に関してフランスなどでは、パティーナやアーティストとしてプロがいるので、その人達の作品の方が手間や労力もかかっているので、レベルは高いと思います。私も染料に関しては独自の開発でオリジナルを生み出しています。その為、手間と時間をかけて奥行きのある深い色を表現をしたいと思っています。ただベルルッティに関しては、ブランディングが非常に上手でパティーヌが認知されたのもベルルッティの影響は大きいと思います。

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このように光の当たり方によっても、表情が変わるのもパティーヌの魅力の一つ。

 

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カラーパレットだけでもこれだけの数を豊富に揃えている。勿論これ以外にも、ご要望に応じてオンリーワンのオリジナルカラーをお願いする事が出来る。

 

人を引き寄せる魅力的な作品


-COSANEVEの小林さんとの出会いはどこだったんですか?

小林さんが私のInstagramを見て、メッセージを頂いたのがきっかけでした。実際に作品が飾られている銀座SIXのワールドフットウェアギャラリーや神宮前の工房にも足を運んで頂いて、作品を見て貰いました。小林さんが掲げる「本物を作ろう」という熱い思いに共感をして、COSANEVEとも一緒に仕事をするようになりました。

 

RENATAが提案するCOSANEVE×Floriwonneのオススメスタイル

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1556年創業、もはや説明不要の生地メーカー「MOXON(モクソン)」。

艶のあるクロコダイルのシューズには、ジャケットのチェックのペーンと色を合わせると、統一感が生まれ奥行きのあるコーディネートへと仕上がります。同じバーガンディーでも藤澤さんの手に掛かれば色気のある深い色の印象になり、女性ウケも間違いないです。

 

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1938年ベルギー・ブリュッセルに設立した生地メーカー「SCABAL(スキャバル)」。

打ち込みのしっかりとした重厚感のあるスキャバルの生地は、あえてスニーカーを合わせることでモダンな雰囲気へと変わります。今の時期だとタートルネックなどで合わせると、スニーカーとのテイストにもマッチし、コーディネートが上手く纏まります。クロコダイルのスニーカーだからこそ演出できる上品な装い。

 

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赤いバンチがトレードマークの生地メーカー「HARRISONS(ハリソンズ)」。

独特の存在感を放つヌバッククロコには、起毛感のあるガンクラブチェックのジャケットにデニムなどを合わせたカジュアルな装いの方が、靴の良さを引き出す事が出来ます。それにしても、このヌバックのような風合いを表現出来るのも藤澤さんならではの高い技術力を感じます。

 

最後に今後の目標など何かありますか?


自分が本当に格好良いと思う靴を作り続けたいですね。今でも作った作品を見返すと、ここをこうすれば良かった。あそこをああした方が良かったのかな。と思う事が多々出てきます。常に現状に満足する事なく、自分が納得いく靴をお客様にお渡し、それに共感してくれる方が増えたら嬉しいと思います。

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お会いした時から気になっていた藤澤さんの手は、職人を感じる素敵な手でした。これでも綺麗な方だと仰る藤澤さんの顔には笑みが溢れていた。

 

最後に…


常に研究熱心で会う度に新しい技術や作品を見せてくれると語るCOSANEVE代表の小林さん。私達も靴について語る藤澤さんの熱い思いと人柄、高い技術力を目の当たりにし、その魅力に惹き込まれました。またクラシック一辺倒できた我々からすると、ドレススタイルにマッチするのかなという不安も最初はありましたが、藤澤さんが手掛けるパティーヌ靴は上品でいて華やかさがありドレススタイルにも絶妙に溶け込んでいきます。我々もいつか藤澤さんに世界で一つのシューズをお願いすることになるでしょう。

 

PROFILEプロフィールfg-trente藤澤 宣彰(ふじさわ のぶあき)
大阪府出身。国内外問わず様々な靴を取り扱う「ワールドフットウェアギャラリー」のスタッフとして靴へのキャリアをスタート。そこで、パティーヌと出会い、その道を極めることを決意。独学で技術と知識を深めつつ、老舗シューケアメーカー「コロンブス」へ転職。伊勢丹などで染め替えを請け負い経験を積み、パティーヌの国内第一人者として普及活動、後進の育成に努めた。その後、2013年に独立をし「Fg-trente(エフジー・トラント)」代表、オリジナルシューズブランド「Floriwonne(フローリウォネ)」主宰。
ホームページ : fg-trente.com

お問い合わせ : floriwonne@gmail.com

 

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