bad-nice 阿部高大

本質を知る男達 vol.1 「阿部 高大(@0391orihakat)」

阿部高大(あべたかひろ)


阿部高大とは、下北沢にある理髪店BAD-NICEで理容師として働き、2020年6月に独立予定。1930年代前後のスタイルを追求し、趣味である釣りもヴィンテージの和竿を所有するなど、お話の中で阿部氏の拘りが垣間見えます。第1回目はそんな阿部氏のスタイルのルーツやファッション感をご紹介します。

bad-nice 阿部高大

 

INTERVIEW


ーあなたのプロフィールを教えてください。

阿部 高大 28歳 神奈川県 川崎出身 1991年9月30日

祖父の代から家族全員理容業の一家に産まれ、親の理髪店は1950年代のアメリカンカルチャーをテーマとした理髪店を営業。

子供の頃から父と50年代が舞台の映画を鑑賞していた。

bad-nice 阿部高大

スーツの着方の型の幅の中から遊び入れて個性を出す当時のスタイルが好きと言う。時代ごとに理想の男性像があり、理想を追い求める人はいつの時代も素敵だ。阿部さんのスタイリングには、自身の人柄が表れ個性として輝いている。

 

ーコーディネートで参考にしているものはなんですか。(モノや媒体)

1920〜50年代のカタログ Laurence Fellows j.C.LEYENDECKER等のイラスト、映画、戦前の世界中のプロマイド(特に日本)から80%。

Instagramで現代の紳士から10%の影響。

80歳以上の老紳士から10%の影響を受ける。

bad-nice 阿部高大

阿部さんが影響を受けている一冊で表紙は加山雄三の父でもある上原謙。1935年くらいのスーツだそうで、ディティールから年代がわかる阿部さんは流石の一言。戦前日本の俳優のスチール集で、当時の日本文化を知る事ができる。

 

ー好きなブランドとその理由を教えてください。

ラルフローレン (特にビンテージ)

ビンテージウェアを忠実に再現している物が多く古着と合わせやすい。再現している年代をあえて伝えず、幅広い層が抵抗なく着られるようにしている所が素晴らしいと思います。

bad-nice 阿部高大

鏡ごしに写ると、場の雰囲気も相まって当時にタイムスリップした感覚になれる。常にスタイルを探求し、自分の個性が現れた瞬間を垣間見る事ができた。

 

ー必ず身につけてるものや持ってるものは何ですか。

帽子。50年代初期以前の紳士からの影響が自分のスタイルに強いので、時代に合った帽子を必ず身につけます。1920年代〜1950年代の帽子を30個近くコレクションしています。

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1930年代の日本のサングラスとイギリスのハット。日本のモノづくりにリスペクトを込めて、スタイリングのポイントとなる小物にはmade in Japanを多く取り入れるのも阿部さんのスタイル。

 

ーファッション以外での趣味や好きな事は何ですか。

釣り。最近はビンテージフィッシングスタイルを極めている。

素潜り(魚突き) 、観賞魚 、アウトドア、サイクリング、喫茶店巡り、レトロ建築巡り、物作り。

bad-nice 阿部高大

クラシックな男を語る上で新聞は欠かせない。時代の情報を紙で知る事で、その時代に自分を投影した見方をしてみるのも新しいヒントが貰えるかもしれない。

 

ーあなたが感じるファッションの魅力は何ですか。

服によって人生を変えられる事、自分の心を見た目で表現する事が出来、逆に服が自分に自信をつけて後押ししてくれるエネルギーがある。

bad-nice 阿部高大

銀座ワシントンの80年代製のストレートチップ。1930年代を意識して作られているので今日のスタイルにとても良く馴染んでいる。最近では見られない裾幅の広いトラウザーズも逆に新鮮でとてもカッコいい。

 

ー今まで出会った洋服の中で1番感動したものはなんですか。

戦前の日本を好きになるきっかけとなった 1930年代の銀座トラヤ帽子店の中折れ帽子。

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イギリスの1930年代初期のハット。サイズ調整には戦前の新聞紙。古い帽子を買った際に入っている新聞紙を集めている。入っているものから当時の時代背景や日付が分かりとても面白いそうだ。

 

ー洋服を好きになった理由を教えてください。

専門学生の頃にその日のコーディネートがオシャレだと思って登校した日に、センスのある同級生から(阿部って普通だよな)と鼻で笑われた時、心の中で見返したいという思いが爆発しました。

21歳の頃に古本屋でブルータスの2号を衝動買いして、戦前の日本の男達の美意識に圧倒されて自分が過去の男達よりも退化しているような気分になりました。

丁度その頃、普段着で背広を着る方達と知り合いになり、手解きを受け。

以下省略。現在に至ります。

bad-nice 阿部高大

本日のスーツは90年代のヴィンテージのラルフローレン。スーツはレディースの物。メンズだと出ない自然なドレープが1930年代後期の雰囲気そのもの。ハリウッドドレープと呼ばれるそれは男性的な雰囲気で阿部さんにとてもよく似合っている。お直しなどは一切せずジャストフィットの物を見つけているらしい。

 

ーご自身でコーディネートする際のポイントを教えてください。

季節感と行く場所(街や自然)のイメージカラーを持ち、どれだけ調和出来るかを楽しむ。流行を先取るのではなくて、季節を先取る。

bad-nice 阿部高大

ネクタイは1930年代のアメリカ製ヴィンテージ。今では珍しいレーヨンで作られたネクタイはプリントがよく映える。ハイウエストでトラウザーズを履く為120cm程の物がベストらしい。小物に至るまで様々な部分への拘りが垣間見え、圧倒される。

 

ーあなたにとってファッションとは。

ファッションは人に流される物。

そしてファッションから自分のルーティンを見つけ取り入れていくのがスタイル。

bad-nice 阿部高大

私は一度町で阿部さんを見かけたことがある。町で見かけた彼の雰囲気に圧倒された。後ろを振り返るとそこには街に溶け込む、最高の男がいた。ジェントルマンは背中で語る、そう私は思う。

 

あとがき


インタビュー中も真摯に受け答えをして頂き、阿部さんの柔らかい雰囲気と崩さないスタイルはとても魅力的でした。ご自身のファッション感をお話しされている際は目が輝いていて、改めて本質を追究している方々は素晴らしいなと感じます。ご自身のライフスタイルやコーディネートを載せているInstagram是非フォローしてみてください。@0391orihakat

阿部さんが新規オープン予定の理髪店が富士東洋理髪店。情報はInstagramアカウント@fujiorientalbarbershop で要チェックだ。

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