年々注目度が増しているファッション大国フィレンツェで開催されるビッグイベント「PITTI UOMO(ピッティウオモ)」。93回目の開催となる第一弾のスーツスタイルのスナップ解説はいかかでしたでしょうか?スーツの様なあまりトレンドに左右されないアイテムも微妙なディティールの変化や柄の変化で大きく違う気分を味わえるものですよね。今回は休日に真似したいカジュアルスナップからトレンドを紐解いていきます。
トレンドキーワード「ブリティッシュ感」
先シーズン同様に今年も会場ではブリティッシュ感の強い装いした方が目立ちました。昨年はスーツスタイルで取り入れている方が多かった印象てすが今年はカジュアルスタイルでも多く見られました。しばらくこの流れは続きそうですね。特にラウンドカラーシャツ、ピークドラぺル、襟付きのジレなどディテールにこだわりを見せることでコーディネートに奥行きを作り、カジュアルスタイルだからこそメリハリの効くスタイルへと昇華させることができます。
ダークグリーンはこなれた印象を演出しやすい色ですよね。ブリティッシュな雰囲気を出したいときはピッタリです。しっかりネクタイで色を拾っていたりと抜け目ない着こなしです。ラウンドカラーシャツやピークドラパルの2ピースなどブリティッシュ感満載な着こなしながらもホワイトパンツで合わせていることで軽快に重たくなりすぎないコーディネートになっています。
雰囲気抜群のこのコーディネート。ショールカラーのニットにショールカラーのクラシックなジレが素晴らしいメリハリをつけています。トーンオントーンで主張が強い分、ネクタイをシンプルな無地にしていることでコーディネートがまとまっています。ニットのベルトを結んでいたり、ベルトをレイヤードさせていたり、小技がしっかりできていて是非参考にしたいコーディネートです。
トレンドキーワード「ワントーン」
最早、洒落男の定番と化した「ワントーン」コーディネートですが会場では通年に比べると増加傾向を感じました。素材や色の濃淡もメリハリをつけすぎない微妙な変化を与えている人が多いです。特にベージュ系のトーンでまとめたコーディネートは新鮮で新しく写ります。今後はベージュ系やモノトーン意外にもボルドーやグリーンなどでのワントーンコーディネートも流行りそうな予感がします。
PITTI UOMOのスナップ常連のシモーネ氏のコーディネートはモード感とクラシック感を絶妙にミックスさせた彼らしい着こなし。ベージュで統一されたコーディネートながらも素材感にメリハリをつけることでコーディネートがまとまっています。パンツのサイドラインとピンクのクラッチバックが差し色として絶妙にスパイスを効かせていてとてもカッコ良いですね。
グレーのワントーンコーディネートはやっぱり抜群にカッコイイですね。注意深く見てみるとソックスまでグレーでグラデーションを作っていて細かい所まで配慮された粋なコーディネートです。抜きどころが肝心となるコーディネートですがしっかりホワイトのポケットチーフで逃げ道を作っているのでうるさくなりすぎない様昇華できています。
トレンドキーワード「レイヤード」
クラシックなディテールのアイテムに対してカジュアル感の強いアイテムでレイヤードしている方が多く感じました。昨年からじわじわとトレンドとして名乗りを挙げているレイヤードも俗に言う“モード”のスタイルがクラシックに近づいている事との因果関係を感じています。良い意味でカジュアルとドレスの境が小さくなっているのでうまくミックスさせやすいのではないのでしょうか。
クラシック感満載の着丈の長い大柄のチェックコートをカジュアルに調理した抜群にカッコイイコーディネート。パーカーの様なドカジュアルなアイテムを敢えて、取り入れることでそのギャップが抜け感が出て抜群に調子良いです。ベルトはしっかりと結んでいたりと抜け感が出過ぎない様にしっかりできてコーディネート全体を調整しているのも素晴らしい点です。
レイヤードスタイルを十八番としているBEAMS(ビームス )プレスの世界の安武氏。彼のレイヤードスタイルは気丈の短いムートンをあえて主軸のコーディネートにしています。インナーとして着用しているジャケットはスティレラティーノのジャケット。このジャケットを主役にする為のレイヤードです。丈のバランスを変えることでメリハリを大きくつけコーディネートに奥行きを演出することが出来ています。
トレンドキーワード「NEWミリタリー」
ワントーンと同じく男性の洋服とは切っても切り離せない関係のミリタリーアイテム。そんな定番のミリタリーにも変化が起きています。M65やモッズコートなどのど定番のアイテムよりもダッフルコートやムートン(B3)、M59などのより新鮮でコアなアイテムを取り入れている人が多く感じます。リアルヴィンテージのアイテムを取り入れることで自然にサイズ感も大きく細部のディティールにこだわったアイテムを入手できるのでオススメです。
エポーレット付きのチェスターコート。この様に直球のミリタリーアイテムではなく「ちょいミリタリー」なアイテムが増えているのも今期の特徴でした。タイドアップせずにカットソーで合わせることで良い抜け感が出ています。カジュアルになりすぎない様にハットで調整してている分カジュアルになりすぎないの絶妙なバランスを保っています。
お二方とも抜群にカッコイイミリタリーアイテムでばっちりカッコイイコーディネートしています。休日にスーツを着たいなんてときはアウターをミリタリーアイテムにするだけで容易にカジュアルダウンできるのでおススメです。タイドアップせずともタートルネックなどで調理してもばっちりカッコイイことでしょう。
トレンドキーワード「ムートン」
来年では1番主軸になるアイテムになるのは間違いない「ムートン」。タフで男らしい装いを演出できるムートンはデニムなどに合わせてカジュアルにもスーツに合わせてメリハリをつけるなどその万能性はチェスタコートにもひけをとりません。当然ながら防寒性もバッチリなのでダウンだとクラシックディテールを用いたコーディネートに合わせづらいなんて方にもオススメのアイテムです。
ミリタリー要素が強く、ムートンの中でも圧倒的に支持の強い「B-3」。無骨で男らしいシルエットなので男性的な体をしている方は特に似合います。合わせるアイテムを選ばす様々なスタイルに落とし込める反面、その人のセンスを顕著に表します。同じくミリタリーテイストのカーゴパンツは相性も良くバランスはバッチリです。ジレを挟み程よく綺麗目にコーディネートのバランスを取っているのでうまくメリハリのあるコーディネートになっていますね。
黒のムートンはモノトーンで合わせると都会的でモダンな雰囲気になるのでムートンの中でも容易に取り入れやすいのではないのかと思います。肩幅の落ちたオーバーサイズのムートンをプリーツ入りのワイドパンツで巧みにコーディネートされていいますね。通年であればスキニーなどを合わせて緩急をつけたいところですがワイドパンツを合わせる辺りがトレンドを意識した着こなしで今っぽくカッコイイ着こなしになっています。
トレンドキーワード「オーバーサイズ」
プリーツパンツの影響で股上の深い緩めのパンツが市場にたくさん出てきました。その影響もありコートもジャストフィットでタイトなシルエットの物より肩幅の広い男性的でクラシックなコートを着用している方が多く見られました。より英国的な仕立てを求めている影響も強いかもしれません。プラス、ラグランスリーブのコートは自然にサイズ感も1つ大きく見えるので取り入れやすいのではないのでしょうか。
ラグランスリーブのコートは来季、人気が再熱しそうな予感を感じました。肩回りが緩やかにカーブするラグランスリーブはタイトに着用してもワンサイズアップして見えるので簡単にオーバーサイズの様な雰囲気を演出することが出来ます。オーバーサイズに抵抗がある方はラグランスリーブのコートを選択してみてはいかがでしょうか?
お二方とも肩幅の広く構築的なシルエットのコートを着用しています。通常であれば若干オーバーサイズの様に感じますが今はそれぐらいいが気分ですね。パンツはプリーツパンツですがホワイトで太過ぎないもので合わせている為さほど野暮ったく見えないのでうまくバランスを取ったコーディネートへ昇華させています。
トレンドキーワード「ハンチング」
前年、「英国調」というキーワードは嫌という程聞いたと思いますがその影響をそのままにハンチングが大活躍しています。トレンドの流れを考えればある程度予想できた流れですがここまで会場に増えてくるとは思いませんでした。多く見られたのはガンクラブジャケットやツイードの重厚感のあるジャケットやコートに合わせたスタイルでしたがレザーやムートンなどカジュアルなアイテムにミックスさせている方もちらほら見かけました。
韓国の注目のセレクトショップ「Andrea Seoul」マネージャーのCHO氏。英国らしいガンクラブジャケットに淡いベージュのハンチングがコーディネートに抜群にはまっています。タイドアップされたコーディネートに合わせてもカッコイイですが休日はストールなどでカジュアルダウンさせたコーディネートに落とし込む方がデイリーに使いやすいでしょう。
レザーにハンチング。意外と新鮮なコーディネート。黒のハンチングは締まりの悪い着こなしを一気にまとまりのある引き締まったコーディネートへと昇華させてくれるので重宝します。サングラスと髭が妙にハンチングとマッチしていて抜群にカッコいいですね。
PITTIUOMO93「ベストカジュアルスナップ」
来期の目玉アイテム「ダッフルコート」を華麗に調理したコーディネート。ベージュとホワイトだけでまとめ上げられています。今回、お伝えしたトレンドキーワードである「ワントーン」「オーバーサイズ」をうまく取り入れ、一大トレンドの「ベルトレスパンツ」が最後の仕上げにピッタリとはまっています。コートに合わせて緩めのパンツやVネックから覗くシャツの襟を少し曲げこなれ感を演出していたりと随所に神がかった“センス”を感じます。最後の調味料であるバッグもコーディネートより薄いベージュと最も濃いブラウンの2トーンで最高の隠し味となっています。
最後に・・・
PITTI UOMO(ピッティウオモ)93のカジュアルスナップの着こなし解説はいかがでしたでしょうか?カジュアルスタイルは定番化しているトレンドと定番のトレンドが進化しているものが多いですね。今回ご紹介したなかでも“ムートン”と“オーバーサイズ”は特に会場では目立ちました。トレンドとして大きく名乗りを挙げそうです。是非、ご参考にしてみてください。